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お菓子材料の知識

 和菓子技術者になるための必須知識

 和菓子技術者になるための必須知識

 ここは和菓子で最低限知っておくべき澱粉の本質についての解説です。

 澱粉の種類と構造

澱粉は原料となる植物の種類に分けられ,また地上で取れる澱粉と地下に生する澱粉とに分かれる.
(1)地上澱粉…・穀類澱粉 (米・小麦・とうもろこし)・茎幹澱粉・種子澱粉
(2)地下澱粉・…根茎澱粉(馬鈴薯),・塊根澱粉(甘藷・タピオカ・くず)
澱粉はそれぞれ性質が異なるもので、澱粉粒の形状や大きさや、澱粉粒を構成している成分、その含有量などによってそれぞれ特徴ある性質を示している。
技術者は菓子を作るに際して使用する澱粉はどれでもよいわげではなく、その適性を理解した上で目的とする菓子に応用しなければならない。
澱粉はブドウ糖が結合したアミロースとアミロペクチンという高分子化合物により構成されていて、アミロースはブドウ糖の分子が長い鎖状(あるいはラセン状)に結合した単純な構造をしており、アミロペクチンはブドウ糖の鎖状結合が、網の目のような構造となっており、さらに枝分かれをしている複雑な構造となっている。
結合しているブドウ糖の数は、アミロースが数十から数百個、アミロペクチンでは数百から数十万にもおよぶ。アミロースとアミロペクチンの含有量は澱粉の種類によって異なっており、これが糊化状態での粘り強弱などに現れるなど、それぞれの澱粉の性質の違いとなっている。

  
粳米
小麦
とうもろこし
馬鈴薯
甘藷
タピオカ
粒の大さ(μ)
12〜10
15〜50
16〜30
15〜20
15〜60
14〜35

アミロ一スとアミロペクチンの構造

アミロース アミロペクチン

でんぷんはブドウ糖がつながってできた炭水化物です。
つながり方により、1直線につながったアミロースと、
枝分かれ したアミロペクチンの2種類に分けられます(上図)。
アミロ ースが多いと、ぱさぱさの米、少ないと粘りのある米、
アミロースが無くなるともち米になります。

澱粉中のアミロースとアミロペクチンの存在割合
   
アミロース
アミロペクチン
さつまいも
18%
82%
じゃがいも
23%
77%
とうもろこし
25%
75%
タピオカ
17%
83%
うるち米
17%
83%
もち米
0%
100%
小麦
30%
70%
大手芒豆
28%
72%
小豆
22%
78%


 性 質

アミロースは水にわずかに溶けるが、アミロペクチンは溶けない。
熱水には両者とも溶け、これを冷却するとアミロースはすみやかに沈澱して結晶となるが、アミロペクチンは沈澱せずにゲル状となる。
糊化温度はアミロペクチンの方が高く、糊化した溶液の粘性もアミロペクチンが大で、溶液の濃度が高くなるほどアミロースとの差は大きくなる。
ヨード反応 : ヨードカリ液に対する呈色は、アミロースが純青色を与えるに対し、アミロペクチンは赤紫色となる。


 糊 化 (α化) ・α澱粉(アルファーデンプン) ・β澱粉(ベーターデンプン)

澱粉に水を加えて熱すると、全体が一様にコロイド状態となる.これを糊化(α化)というが、糊化した澱粉は、もとの澱粉と著しく性質が異なっている。
これは澱粉を構成しているアミロースとアミロペクチンの強固な結合が、水と熱によって崩れるために起きる現象で、これがα化でありα化した澱粉をα澱粉と云い、元の澱粉をβ澱粉という。
御飯や餅をつくったり、パンを焼いたりクッキーに仕上げるのは、原料中の澱粉をα化して美味しく食べられるようにするためで、古くなったパンや冷飯がボソボソしてまずいのは元のβ澱粉に戻ったからである。
澱粉は糊化(α化)に伴なって粘性を生ずるが、粘度の変化は、澱粉の種類・澱粉粒の大きさ・水の量・撹伴の仕方・加熱温度・加熱時間によって異なり、さらに糊化終了後の温度変化・経過時間などが大きな影響をおよぼす。
糊化(α化)とともに考えなくてはならないことは澱粉の老化(β化)である。
熱せられ糊化したものは流動性をもっているが、冷却されると次第にアミロース分子が、ある程度もとの配列にもどり始める。(澱粉の老化=β化)
結果的には、アミロース含量の高いデンプンほど、澱粉の老化=β化は進むことが分かる。製菓技術者は菓子の使用目的による澱粉の特性を把握し、適正な選定を行なうことが大切となる。

   
粳米
小麦
とうもろこし
馬鈴薯
甘藷
タピオカ
糊化温度(℃)
70〜80
62〜83
65〜76
55〜65
58〜67
64〜79

 α化澱粉

α化澱粉とは、α化した澱粉をそのままの性質が維持できるように、急速に乾燥した加工澱粉のことを云う。
たとえば即席もち・即席しるこ・煎餅・最中の皮・ウエハース・みじん粉・寒梅粉などは、この原理によって製造されたものである。
α化澱粉は各種の澱粉から製造されるが、いずれの場合も加熱糊化した澱粉を高温のまま急速に乾燥、あるいは瞬間冷凍後の真空中(昇華現象を利用)で乾燥し、1O%〜0%の水分にすることでβ化への進行を押さえた澱粉である。
α化澱粉がふたたびβ化する条件には、温度と水分が関係する。β化の速度は、澱粉に対して水分30〜60%のときが最大で、温度はO℃に近づくほどβ化し易い。





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