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贈答辞典(水引・熨斗)

水引の由来水引の種類 
水引の型と使い分け熨斗 -のし-の由来


【水引の由来】
<水引の由来>
水引の歴史をみると、飛鳥時代に小野妹子が中国からの帰朝の際、日本の朝廷への贈り物として持ってきた贈り物に紅白に染められた紐がかけてありました。これが平安時代のころから、紙で元結を染めて贈り物用に使用するようになったのでした。
元結は、和紙を2センチ巾のテープ状に切って縒りを掛け、こより状にし縒が戻らないように水糊を引いて固めた紙紐のこと。
水糊を引いて固めたことから水引と称されるようになりました。
また古代の風習として結ぶという行為そのものが、魂・真心を入れることであり、結ばれたものは単なる物ではなく特別に心のこもったものとして扱われてまいりました。

【水引の種類 】
水引の種類については、古くから @紅白A金銀B赤白C赤金D黄白E黒白F青白など多種あります。簡略に用途を説明いたしますと、

@紅白 古来より喜び事に用いる最も格式の高いものとされておりますが、現在では皇室においてのみ用いられ、一般には赤白の水引がこ れに代わって用いられております
A金銀 現在ではこの金銀の水引が一番格式の高いものとして結納・結婚祝儀などの婚礼儀式時に用いられております。
B赤白 もっとも広く用いられており、日常的なお見舞い・お祝い用に使用します。
C赤金 赤白と同格、この水引は「陽」の気を表すものとして、お見舞い・お祝い・神事用などに用いられておりました。
D黄白 黄白は不幸の意味ではなく精進潔斎を表し、主に仏弔事に使用致します。京都では御所(公家)の作法を受継いで仏事には黄白の 水引を用い、黒白の水引は用いません。
E黒白 東京・大阪など、地方における葬儀では用いられることは在りますが、京都ではこの水引は用いられません
最近では人の行き来の影響もあり京都でも見受けるようになって来ました。しかし “黒白では余りにも悲しみが強烈で深く感じられるので、相手様の悲しみを思いやる気持ちから黄白を使用する” といった御所(公家)の影響もあり、旧家では今でも黄白の水引が使用されています。
F青白 この水引も仏事用として使われておりましたが、最近では使用されなくなってまいりました。


【水引の型と使い分け】
水引の型には @相生結び(鮑結び)A蝶結び B結び切り の三通りの基本形がございます。
@相生結び(鮑結びとも云われる)
左右の輪が互いに結びあっていることから、また“のしあわび”の鮑の形をしていることから、このような名称が付いたとされております。京都では相生の意味をこめて慶事・弔事に関わらずに用いられておりますが、当然慶時・弔時には使用される時の水引色は変わります。

A蝶結び(略式)
結びが簡単に解け、何度も結び直せる意味合いから、何度も繰り返してほしいとの願いを込めて、一般祝事を始め、お礼・ご挨拶記念・行事などのご贈答に用いられます。京都では蝶結びは略式との考えであまり使用されません。

A結び切り
結びが簡単に解けない意味合いから、二度と繰り返すことのないようにとの願いを込めて全快祝いや、固く結ばれることを祈って婚礼関係に用いられますが、京都では相生結び(鮑結び)がこれに代わって使用されます。


【熨斗 -のし-の由来】
熨斗(のし)の由来>
熨斗は熨斗鮑(のしあわび)が略されたものです。
もともとは、縄文時代から食用にされたと考えられるアワビが高級保存食の贈り物とされていたことに遡ります。
のしあわびは鮑(あわび)の肉を薄く長く延し、乾かしたもので“のし”の名称はこれによるものといわれております。また“のし”は古くは汚れを払う清浄な物として他の海産物とともに神饌・儀式用御供物として用いられましたが、後には進物に添えて祝意を表すようになりました。

江戸時代には「熨斗鮑(のしあわび)」を不老長寿・長寿延命のお印として用いられ、贈る相手のご健康を祈念し贈り物に添える象徴とするなど、祝事や慶事の儀式や、特殊な祝儀用品として用いられるようになり、近年は熨斗鮑を和紙に包んだ形を模して“のし”の代用とし、これを贈答品に添える風習が生まれました。
したがいまして、熨斗は祝事や慶事の儀式や病気見舞いに用いるものですが、仏事の場合には元来が“生臭きもの”とのことで、熨斗を付けないことになっております。
最近、冠婚葬祭情報誌などで‘病気見舞いの体裁には熨斗(のし)を付けてはいけない’といった誤った記事が見受けられますが、「熨斗鮑(のしあわび)」の由来をも理解しておられずに、ちょっと恥ずかしいことですね・・・・・。

余談ではございますが、当店が使用致しております水引は、冠婚葬祭すべてに用いられる相生結び(あわび結び)の形態のものを創業以来から使用いたしております。また京都の多くの老舗店でもこの形“相生結び(あわび結び)”を使用されておられます。
最近は変化をもたせた種々の水引が考案され、一部では混乱を生じるものまで使用されておりますが、当店では基本をはずさないことが大切と考えておりますので、今後も古からの作法に準じたこの形を使用していく考えでおります。