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グルテンというものを菓子作りにどのように生かし、また排除していけばいいのか、がよく分かりません。(東京都 A.Y.さん)
<回答0030>



> 経験度 = 普段の趣味としている
> 得意別 = 洋菓子
> ご質問 = 理論的にはグルテンというものは内容は分かっているつもりですが・・・・。グルテンというものを菓子作りにどのように生かし、また排除していけばいいのか、がよく分かりません。

@とてもふわふわのシフォンのような生地(ロールケーキ)を作る場合、「超」薄力粉を使い非常に混ぜ続けます。これは粉をしっかり生地に「分散」させるためで、グルテンを出すため?ではないですよね。

A粉を水分(卵生地)に加えてからグルグルよくかき混ぜて、その後溶かしバターを加えるケイク生地ですが、この場合、グルテンを出して網目状をしっかり作り、焼成後のシロップを十分吸収する生地ができるということなのでしょうか?
あるいは、よくかき混ぜるのはやはり「分散」が目的で、「グルテンを出す」のは目的でなく、なぜなら、溶かしバターを加えるわけですから、その際に生じたグルテン を分断させようというものなのでしょうか?

B混ぜてグルテンの出た生地を休ませる場合ですが、やはり常温より冷蔵がよく、また、休ませることによって焼き縮みせずよく膨らむ硬くない生地ができる、ということなのでしょうか?ですが、できてしまったグルテンの網目状組織はなくなることはなく、スポンジ状の組織ができているわけですよね。休ませれば、パンのように硬くしまった生地が伸びのいい生地になるのは想像できますが、できたその組織はどのようになっているのでしょうか?それはケイクにとってどのように働くのでしょうか?

Cまたグルテンを休ませるためには冷凍庫ではダメ(グルテンが休まらないから?)で冷蔵庫じゃないといけないのでしょうか?

【アドバイス】

お悩みはよく分かります。
ケーキ作りの成功・不成功は、まさに生地の捏ね具合
(グルテンの粘性)によって大きく変わるものですからね。

この回答を読む前に必ずこのページのグルテンの項目に
目を通しておいて下さいね、読んでおかないと混乱するかも・・・
https://www.surugaya.co.jp/school/kisogaku/flour.html


> @とてもふわふわのシフォンのような生地(ロールケーキ)を 作る場合、「超」薄力粉を使い非常に混ぜ続けます。
> これは粉をしっかり生地に「分散」させるためで、 グルテンを出すため?ではないですよね。

その通りです、スポンジは生地の均一性が大切で素早くしっかりと混合し、生地を均一に仕上げる必要があります。
シフォンやスポンジの場合も、粘りが出すぎるとふんわりと仕上がりませんが、でも適当に粘りを出すこともとても大切なことなのですよ、

このような状態は滅多にありませんが、グルテンゼロ状態・・、つまり全く粘っ気が無い生地は焼成後に必ず落ち込んでしまいます。

因みに、
グルテンを多く出す必要があるならば何もグルテン含有量の少ない粉をシフォンに使用する必要はありませんね。
グルテンが出過ぎると困るので極力含有量の少ない粉を選ぶだけなのです。

粘りをどのくらい出せば良いのか、どのくらいに押さえれば良いのかは試食してからの結果を次回の工程に活かさなければなりません。
プロの世界は毎日がこの繰り返しなのです。


> A粉を水分(卵生地)に加えてからグルグルよくかき混ぜて、 その後溶かしバターを加えるケイク生地ですが、
> この場合、グルテンを出して網目状をしっかり作り、 焼成後のシロップを十分吸収する生地ができるということなのでしょうか?
> あるいは、よくかき混ぜるのはやはり「分散」が目的で、 「グルテンを出す」のは目的でなく、なぜなら、溶かしバターを
> 加えるわけですから、その際に生じたグルテン を分断させようというものなのでしょうか?


よくかき混ぜるのは、均一化(分散)が目的です。
バターが入ったスポンジの場合もシフォンと全く同じです。
生地を均一化するために攪拌すると同時に適当な粘りも必要なのです。
グルテンが出すぎると堅くなり、ふんわりしっとりと仕上がりませんが、でも粘りっ気が無いと焼成後には、やはり落ち込んでしまいます。

グルテンの生成はシロップを十分に吸収する生地にするのが目的ではありませんが手段の一つと考えて下さい。
また、溶かしバターを入れるのは、グルテンの分断を目的としたものではありません。
シロップやバターは焼成後のしっとりとした食感、風味を上げることにあります。
グルテンを分断するのが目的ならば、早い段階で油脂を入れるべきですね。

シフォンなどのスポンジ生地には卵泡による、ふんわり感・ボリュームが大切ですね
油脂類はこの生地中の気泡を消し、生地を落ち込ます原因になりますが、この生地の落ち込みを防ぐためには、グルテンの助けが必要となります。
まさにグルテンは両刃の険なのです。


> B混ぜてグルテンの出た生地を休ませる場合ですが、 やはり常温より冷蔵がよく、また、休ませることによって
> 焼き縮みせずよく膨らむ硬くない生地ができる、 ということなのでしょうか?
> Cまたグルテンを休ませるためには冷凍庫ではダメ (グルテンが休まらないから?)で 冷蔵庫じゃないといけないのでしょうか?

冷蔵庫で休ませることの第一は小麦粉の劣化を抑えることにあります。
グルテンの粘度を弱くするだけならば常温でも良い訳ですがパンの場合はむしろホイロを必要としますね)
粉のタンパク質、澱粉質は高温下で風味の劣化が進みますので冷蔵庫内で休ませるのです。
当然休ませることによって粘性(タンパク質分子の絡み)も弱まり良く膨らむ生地となりますね。

冷凍庫では全ての活性が冬眠状態になりますので、グルテンの粘性もほとんど変化せず意味を持ちません。


> ですが、できてしまったグルテンの網目状組織はなくなることはなく、 スポンジ状の組織ができているわけですよね。
> 休ませれば、パンのように硬くしまった生地が伸びのいい生地になるのは想像できますが、できたその組織はどのよ うになっているのでしょうか?
> それはケイクにとってどのように働くのでしょうか?

ちょっと混乱気味ですね・・・、
パンとケーキ(スポンジ生地)とでは、グルテンに求めることがかなり違ってきます。
パンの場合はグルテンを最大限利用しようとするのですがスポンジ生地の場合は、グルテンも必要とされますが
必要最小限に留めることが要求されるのです。

出来てしまったグルテンの組織は条件次第では壊れたり弱くなったりも致します。
https://www.surugaya.co.jp/school/kisogaku/flour.html

グルテン組織はタンパク質の分子が鎖のように繋がっている(絡み合っている)ものと考えて下さい。
パン生地やスポンジ生地が出来上がった直後にはグルテン組織が生成されており、絡まっています。
からまっているから粘りっ気があるのです。

普段行っている菓子作りの作業の中では、捏ねすぎないように、とか強く腰を出します、とか言われているのはグルテンをどれくらい出せば、或いは
抑えれば良い製品が出来上がるのかの目安を述べているのです。

言い換えれば
グルテンつまりタンパク質の鎖をどれくらい絡めれば良いのかを説明しているのです。
パンには強くて強固な鎖を必要とし、スポンジには弱めの鎖を必要とするのです。

つたない説明でお分かりにくい点もあるでしょうが経験を重ねる毎に理解は深まっていくでしよう、頑張ってくださいね。では





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