<プロからのアドバイス>
(担当者)
お作りになった
羊羹の配合が解りませんので、一般的な配合と言うことでのお返事になりますがご了承下さい。
羊羹はお菓子の中でも含糖量65〜68%と高く、置かれた条件(気温・湿度)によっては再結晶しやすいものです。特に冷蔵庫や冷凍庫の条件によっては、砂糖の再結晶化が急速に進む場合があります。つまり煉り羊羹に溶け込んでいた糖分が低温下で溶けきれずに再結晶化して固まりとなって現れてくる現象なのです。
しかし練り羊羹の配合や製造過程が正しければ冷凍・冷凍する必要も全くなく長期間の保存が可能な商品でもあります。
TCさまの場合を想定しますと、羊羹に含まれる砂糖分が先述のように、温度の低下により糖分の再結晶化が生じたものと思われます。
先に、製造過程が正しければと申しましたが、これはどういう意味かと申しますと、製造過程で砂糖分が完全に溶解し再結晶を防ぐ手段が講じていれば、ということです。
砂糖分が完全に溶解しているか否かは、ミクロンの世界ですので肉眼では確認しにくいことですが、僅かでも煉り羊羹の中で砂糖粒子が残っていればこれが核となって結晶化が進み始めます。
結晶化は温度が低ければ低いほど進みますが、ただしマイナス20度以上ですと、結晶化は止まります。(当店でのテスト結果です)
練羊羹内での再結晶の形は使用材料・糖度・配合・製法などによりさまざまで、大きく結晶化するもの、細かく不揃いなもの、氷砂糖のように六角形のものなど色も様々です。ご指摘のものも実際にお口に入れられますと砂糖だとお判りになると思います。
また正しい手順で作られた煉羊羹は長期間の保存も可能で、特に冷凍する必要も無く長期間保存が可能で、これは含糖量が高い理由で、細菌の繁殖が防止されることにあります。ただし栗羊羹・抹茶羊羹など含まれる材料によっては痛みやすく、また風味が落ちてしまいます。このような素材が含まれた煉羊羹は冷蔵庫での保存が必要ですが・・・
また製造時、必要以上に煮詰めますと、糖度が上がりこれもまた再結晶化の原因になります。(専門的には糖度68度位が最適です)
再結晶化を防ぐ方法ですが、今までの説明のように適当な水分を加えて、時間(砂糖投入後20分くらい)を掛けて砂糖を完全に溶かすこと、煮つめの途中で鍋の内側周りに付着した羊羹をそのままにして煮上げないこと、攪拌しすぎないこと、煮詰めすぎないこと、などが考えられます。
煉り羊羹の仕上げ温度は98度から99度位で仕上げること。
如何でしょうか、また疑問点がございましたらお尋ね下さい。
そのときには配合・製造過程などお聞かせ願えればもっと適切なアドバイスができるとおもいます。
頑張って美味しい羊羹をお作り下さい。
(T.C.さんからの返事)
(株)宇治駿河屋 様
先ほど、煉羊羹の質問をさせて頂きましたTCと申します。早々のご返事ありがとうございました。
大変わかりやすいご説明で大変感謝しております。
最近、和菓子作りに挑戦しているため、また、質問させて頂くこともあるかと思いますが、
その節には何卒宜しくお願い致します。
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