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煉羊羹(練り羊羹)について
<回答75>
始めまして、お忙しい中恐縮ですが、初めてお尋ねします、最近練り羊羹作りにこっていますが失敗ばかりです。
先日宇治駿河さんの小倉羊羹求め頂きました粘りありとても美味しかったです、
私の作った練り羊羹は、ある程度の硬さはありますが粘りもなく水羊羹の硬い羊羹のようです。
T.Hさん
配合、工程、
糸寒天・・・・・    8g
水・・・・・・・・・  500ml
グラニュー糖・・・ 300g
漉し餡・・・・・・・ 650g

糸寒天を水に一晩戻しておきました。沸騰したらグラニュー糖を入れ完全に溶かし、漉し餡を入れ木杓子で混ぜ、強火で杓子ですくって上に盛り上がるまで煮つめ、流し缶に流し入れ冷ます。
以上の工程ですが、先に述べたように固まりますが粘りが無くあんこの塊のようです、
原因は配合でしょか?工程アドバイス頂ければ有難いです。
この配合は和菓子の本からです、1つには強火で煮つめ仕上がりの温度は103℃ですか。
宜しくお願い致します。

<アドバイス>
仕上がり温度103度Cは煮詰め過ぎですね、
仕上がりのタイミングとして、羊羹が盛り上がるまで煮詰める・・・など、とんでもない説明です。
T.H.さんの配合では、仰るとおり餡を固めたような羊羹?になってしまいますね。
50年ほど前の和菓子専門書にも同じような記述がありましたね、たぶんこの著者は本当に煉り羊羹を作った経験があったのでしょうか、まずは下記の配合で試して下さい。

生餡を使用した配合

含糖量60%の漉し餡を使用した配合
糸寒天

砂糖
小豆生餡
水飴
7.5g
500g
350g
180g
 10g
糸寒天

砂糖
漉し餡(含糖量60%)
水飴
7.5g
500g
190g
300g
 10g

寒天はゼリー強度600番手の糸寒天を使用しました。
市販されている寒天は400番手位ですので、これをご使用の場合には9g (20%増) にして水も増やして下さい。またゼリー強度の低い寒天は粘りもなく、必要以上に水に漬けますと腰も無くなってしまい煉り羊羹には不向きです。
砂糖はグラニュー糖以上を使用して下さい。
白あんを使用する場合には色焼けを押さえるために白双糖を必ず使用して下さい。
「生餡」を使用した配合は風味も良いのですが、失敗もしやすいので、砂糖量60%で仕上げた漉し餡を使用した配合をお勧めします。

製法工程
@充分に吸水した糸寒天をフルイにあげ、冷水をかけて洗ってから鍋に入れ、水を加えて火にかける。
A沸騰して寒天が完全に溶解したことを確認すること、寒天が溶けきっていなければ、更に水を150cc程加えて寒天を完全に溶かしてください。寒天が完全に溶ければ砂糖を入れ沸騰させて砂糖を溶かして下さい。
B砂糖が溶けたら、一度火を止め目の細かい篩いで寒天液を漉します。再び火にかけて煮詰め寒天液が95〜96度Cまで煮詰まったら漉し餡(或いは小豆生餡)を加え、杓子で焦げないように鍋の底をしっかりと煉ってゆくこと。火加減は焦がさない程度に強火にすること。
C仕上がりまでの工程中は温度計で正確に見極めメモしながら進めて下さい、この仕上がり温度で煉り羊羹の良否が決まってしまいます。
羊羹液が98〜99度Cになれば水飴を入れ、一煮えさせてから火を止め、荒熱が抜けた頃に型に流し込んで完了です。
制作に要した時間:40分

参考:
煉り羊羹の質は最後の火加減、煮詰め加減で大きく変わりますので火加減、煉り加減には注意して下さい。また出来上がったものから次回の制作への参考にするようにしてください。
ここに書いた温度はあくまで制作目安です、1〜2度Cの誤差は気にせずに進め、仕上がり具合から次の段階へと進めて下さい。
<制作結果からみた改良点>
1.何となく柔らかく水っぽければ、最終の煮詰め温度を高めに仕上げて下さい。
1.堅過ぎれば餡を減量するか砂糖を増量する。
1.柔らか過ぎれば砂糖を減量する。
1.粘りが少なければゼリー強度の高いものに替えるか又は増量する。または水を増量して煮る時間を多くする。(水不足・煉り不足)
1.仕上げた羊羹の中で糖化現象が出れば、攪拌のし過ぎか、鍋の縁に付着した羊羹が乾き、そのまま汚れたまま煮続けたことが原因。
1.歯ごたえがなければ、攪拌のし過ぎか、寒天の腰が無くなってしまったことが原因と思われる。


(ご返事)
回答メール頂き有難う御座います、丁寧な指導頂き早速レシピどうり現在まで殆んど毎日羊羹作っています、
最初は四十点位でした、硬くは成りますが以前からそうでたが粘りが、糸寒天を増量したり砂糖も少し増量したり、最後の煮詰めも棒温度計で98-99度C
紅羊羹レシピのこし餡を使用配合・生餡を使用配合双方とも挑戦しました、ただ寒天を粉寒天を使用しました。レシピより少し増量して砂糖が溶け、目の細かい裏漉しとうし。
煮詰め粉寒天ゼリー強度強いようで少し水を入れ95度にし餡を入れ煮詰め出来るけ強火で煮詰めました、鍋の縁の汚れもふき取り98度まで煮詰め水あめ入れ少し荒熱をとり流し込みました。
結果は私としましては合格かなと思っています、アドバイスレシピ等有難う御座いました。
粉寒天は菓子材料食材店で業務用だそうですが、粉寒天使用量をアドバイスお願いします。いま少し粘りを出したいと思うのですが単純に寒天を増やせば良いのでしょうか。
温度計ですがデジタル有ると聞きましたが、差し障り無ければ機種をお教え頂ければお願いします。

<アドバイスA>
粉寒天は煉り羊羹には適しません。
粉寒天は確かに業務用として使われていますが、殆どは化粧品やシロップ、或いは加工食品の増粘材として用いられています。
寒天にはそれぞれ個性・特性があり、使用目的に応じた使い分けが必要で、和菓子の錦玉や練り羊羹には使用しない方がいいですね。その理由は、粉寒天は凝固力は強いのですが、煉り羊羹としての滑らかな粘り気に欠け、食感でも粘り気も少なくコリコリした感触になってしまいますね。
粉寒天の凝固力は、糸寒天と比べて110〜120%の強さがありますので、今回の例ではむしろ減量すべきです。
糸寒天ですが一般に市販されている糸寒天は、ゼリー強度400〜450番手が中心です。
当店では糸寒天のゼリー強度650番手を使用いたしておりますが、使用するにはその扱いはPH管理など非常に難しいものがあります。
デジタル温度計については、何処のメーカーのが良いのかあまり認識しておりませんし、またそれほど厳格な規格も必要は無いと思いますが・・・・・
当店は薬局で販売されている200度c用のガラス管温度計を金属保護ケースに入れて使用しております。(ご参考までに・・・・)

<再度のご質問>
再三のメール恐縮します、先日粉寒天は練り羊羹には向かないとの指摘で、指摘どうりコリコリかんでした。今回糸寒天600番手手に入り早速紅羊羹レシピで挑戦してみました
最後の仕上がり最新注意し99度まで上げました。結果は堅さ色艶は良いのですが、粘りが足りないようです、同じレシピで再挑戦駿河屋さん改良で水を少し多めに練り上げました
仕上げは最終では100度まで上がったと思います、結果はあまり変わりなく粘りが無いようです。工程に問題有ると思います、度々恐れ入りますがアドバイスお願い致します。

<アドバイスB>
粘りが思ったように出ないとのご質問ですが、考えられるのは、
1.練り時間・・・寒天の溶解から仕上げまでは約40〜45分位は必要ですが如何ですか、20〜30分で仕上げたものは充分な火通りも無く美味しく仕上がりませんので、火加減を調節してじっくりと炊きあげるように工夫して下さい。
2.生餡をご使用とのことですが、餡の原料は国産のものを使用していますか?外国産のものは粘りはあまり有りませんので国産のもの出来れば北海道産の金時系の豆が適しています。
3.餡は充分に蒸らし終えたものを使用していますか?、白大手亡豆或いは白金時豆が最適ですがこの餡(生餡・漉し餡)自体に粘り気がありますか?
性急に仕上げた餡は粘り気も無くザラついた感じで、このような餡は羊羹にはまったく向きません。
4.上記の要件を満たしているならば、餡を投入するタイミングをもう少し早めにしてじっくりと練り上げて下さい。
5.自分で製餡をされているのでしたら、製餡方法自体に誤りがあるのかも知れませんね、

煉り羊羹は全て材料(豆・寒天・砂糖など)の性質を見極めることから始まって、澱粉粒子がどのように糖分と馴染んでいくのかをしっかりと掴んでいなければ出来ませんので多くの研鑽を重ねて取り組んでください。

(お知らせ)
「煉り羊羹」のレシピを掲載させていただきましたのでご参考下さい。

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