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2008/07/13



煉り羊羹



巧の技を必要とする和菓子の最高品
紅羊羹
漱石も子規も潤一郎も絶賛した和菓子の至宝

練り羊羹は材料・工程は単純そのもの、それだけに職人の技が試されるお菓子でもあるのです。
(全国どの地方にも数え切れないほど存在する羊羹ですが、絶品とされる品はごく僅か、それって何故?)

<当店の白あんを使用した練り羊羹の作り方>
今回は紅羊羹を掲載しましたが、白あんを小豆餡に替えることで普通の練り羊羹が出来ます。
材料

和三盆白餡(一般の小豆こし餡でも可能)    和三盆白あんについて
白双糖(グラニュー糖や他の好みの砂糖でも可)
糸寒天(ゼリー強度のつよいもの)
水飴

配合
こし餡を使用した配合
生餡を使用した配合
糸寒天

砂糖
白こし餡
(または小豆漉し餡)
水飴
 13g
500g
320g
500g

 50g
糸寒天

砂糖
白生餡
(または小豆生餡)
水飴
 13g
500g
520g
300g

 50g

● 準備するもの
鍋、木杓、篩い金網(メッシュ50〜60番)、タオル、温度計(150度計)
高温に耐える流し型(金属製弁当箱でもいいですよ、樹脂製は不可)

● アドバイス・知恵
今回は、簡単に出来る温度計での製法をお教えいたします。
温度計は余裕のある150度Cまで計れるものを用意して下さい。(薬局などで販売)。
温度計はデジタルでもガラス管のものでもかまいませんが、ガラス管は破損の恐れが有りますので慎重に扱ってください。

白あんを小豆餡に替えることで普通の練り羊羹が出来ます
仕上がり時に抹茶を水溶きしたものを加えれば抹茶羊羹にもなります。



練り羊羹
● 作り方
(1) 
充分に吸水した寒天を洗って、鍋に入れ、水を加えて中火くらいで溶かします。
寒天が溶ける水の量は決まっていますので、必要量以下の水では溶けきれませんので注意して下さい。

(2) ゆっくりといたわるように溶かして下さい。
強火で急速に溶かしても完全には溶けません、特にゼリー強度の強い寒天は尚更です。
(コツ)最初に沸騰したら一度冷水を150ccほど入れ、一旦沸騰を押さえ寒天が完全に溶けきっているかを確認して下さい。(吹きこぼれに注意)
(3) 
寒天が完全に溶けきっているのを確認すれば定量の砂糖を全量入れ、砂糖を溶かします。砂糖の品種や割合を替えることでまた違った風味の煉り羊羹が出来ます。黒糖、三温糖、きび糖、蜂蜜、和三盆糖、などいろいろと工夫して下さい。
(4)
砂糖を溶かします。白双糖などの粒子の粗いものは溶けにくいので、少し強火で溶かして下さい。寒天に砂糖が加わると、吹きこぼれやすくなりますので、離れずに注意しながら溶かしてください。(吹きこぼれに注意)
(5) 
砂糖が完全に溶ければ目の細かい篩で漉します。
天然の天干し寒天には細かいゴミも混ざっている場合も有りますので、必ず篩で通すこと。
通すことで滑らかな口当たりにもなります。(工場寒天はゴミもなくきれいですよ)
(6)
漉し終えたら吹きこぼれに注意して再び煮詰めていきます。
煮詰め温度は大体95〜96度Cにして下さい。
(7)
餡を入れます。
温度計で大体95〜96度Cに煮詰まれば、一度火を弱くして餡を溶けやすい位に細かくちぎって入れていきます。
(8)
餡が全量入れば木杓かホイッパーで餡をほぐして下さい。
鍋の縁に付着した餡は丁寧に掃除しておいてください。汚れたままで仕上げると滑らかな羊羹に仕上がりません。
(9)
大体餡がほぐされば、鍋の周囲を綺麗にして、やや強火にして煮詰めていきます。
餡を混合したこの時点からは焦げやすいので慎重に、木杓で鍋の底の方をしっかりと攪拌して下さい。
(10)
(焦げやすいので注意)
強火でしっかりと煮ていきます。焦がさない様に底の方に注意して、しかも必要以上に攪拌しないように練り上げていくのです。
(11) 
途中、鍋の縁が汚れたり、乾燥した生地が付着した場合には、火を止めて濡れ布巾で洗い落として下さいね、
(12)
煮詰まりが進むと、さらっととした状態から、粘っこい状態に変わってきます。
この頃から羊羹の温度に注意して下さい。羊羹の中心部の温度が98〜99度Cになれば火を止めて下さい。
この時に好みの色に染めたり、水溶きした抹茶などを加えて下さい。
(13)
仕上がりはかなりの高温になっていますので、火傷には注意して下さい。
金属製の流し型やバットに流し入れて24時間程放置し、固まれば好みの寸法にカットして完成です。
和三盆製の白餡について


煉り羊羹の老舗と云ったって、・・・
このレシピだけで美味しい煉り羊羹が、最初から上手く出来るなんて思わないで下さいね、(>_<)
まず最初の出来映えは50点くらいの出来映えだと思うのですが、・・・・・
煉り羊羹は簡単そうに見えますが、そう簡単にはいきませんね、我々和菓子職人でも完成度の高い煉り羊羹を作るのは至難の業、一瞬たりとも油断は出来ない代物のなのです。
煉り羊羹の完成度は最初の小豆・寒天などの素材選びから最後の火加減、煮詰め工程を完全にイメージ出来てるかどうかで大きく変わります。

寒天ひとつにしたって町中の工場内で人工的に凍らせた寒天なんかでは、美味しい練り羊羹が出来るわけ無いのです。寒天の質は水の綺麗な日本海で育ったテングサの選別から始まります。
そして厳冬期の山中で大自然の恵を受け、人智を超えた環境の中で作られた腰の強い寒天だけが最高級の煉り羊羹には相応しいのです。
餡にしたって、煉り羊羹に適した最適な豆が必要なのです。
粒子が細かく、柔らかで滑らかな、香りの良いもの、・・・肥沃な大地で大切に育てられた小豆を選ぶことが美味しい煉り羊羹の必須条件なのです。さらにその大切な小豆の風味を活かすようにじっくりと炊きあげ、美味しい水で晒し生餡に仕上げねばなりません。
練り加減、火加減にしたって、職人の身体の中にある理想の煉り羊羹のイメージに出来るだけ近づけようと必死で練り上げてこそ、最高の練り羊羹が出来てくるのです。
煉り羊羹はまさに菓子職人の長年に培われたノウハウが集大成された和菓子の最高傑作なのです。

このレシピを参考にされた皆さん、思ったほどの出来映えにはならなかったかも知れません。でも貴方が仕上げた煉り羊羹からその結果を次回の制作への参考にするようにしてください。
例えば、ここに書いた温度はあくまで制作目安です、1〜2度Cの誤差は気にせずに進め、仕上がり具合から次の段階へと進めて下さい。
菓子造りのレシピはほんの入口です。菓子作りのすべては結果から学んでいくものなのです。

<制作結果からみた改良点を書いて見ました>
1.水っぽい仕上がりの場合は、次回には最後の煮詰温度を2度C程高めに仕上げて下さい。
1.堅過ぎれば餡を減量するか砂糖を増量してください。
1.柔らか過ぎれば砂糖を減量してください。
1.粘りが少なければ寒天をゼリー強度の高いものに替えるか、水を増量して練り上げる時間を多くする。(水不足・煉り不足)
1.仕上げた羊羹の中で糖化現象が出れば、攪拌のし過ぎか、鍋の縁に付着した羊羹が乾き、そのまま汚れたまま煮続けたことが原因です。
1.歯ごたえがなければ、攪拌のし過ぎか、寒天の腰が無くなってしまったことが原因と思われます。
1.温度計はあくまでも目安に過ぎません。制作過程の条件では1〜2度の差は当然と心得て下さい。
では、美味しい煉り羊羹が出来上がるように祈りつつ筆を置きます。

Q and A  煉り羊羹独特のあの粘りが出せません
煉り羊羹は和菓子の最高傑作と云ったでしょう、
宇治駿河屋は羊羹作りの歴史はたかが100年程、恥ずかしい話ですが、未だに究極の煉り羊羹の姿を追い求めているのです。
毎日の制作に当たっても、煉り羊羹独特の食感、煉り加減・粘り具合でも苦労しております。
粘り具合ばかりではなく、練り羊羹の品質を決めるものを思いつくままに書いてみました。
寒天:
1.糸寒天:輸入品を使用した合成寒天は論外、国産の天然ものを使用すること。それも最高の天候条件で仕上げられたものを使用すること。また工場冷凍室での糸寒天は風味に欠けますね、
2.粉寒天は避けた方が良いですね、粗悪なものは安価な原料を使用しているために、仕上がりがコリコリしたものになりますから避けてください、滑らかな仕上がりには品質を見分ける目も必要ですね。
3.寒天のゼリー強度に注意して下さい。当店では600〜650番手のものを使用しております。
水:
軟水を使用して下さい、硬水は滑らかさを阻害します。
豆:
1.出来るだけ有機栽培の豆あるいはその環境に近い畑のものを使用して下さい、入手には信用ある材料店で購入することですね。
2.練り羊羹専用に炊きあげられ、晒された餡を使用しなければなりません。
その他に・・・・
練り羊羹は強火でじっくりと炊きあげねばなりません、一見矛盾しているように見えますが言い得て妙とはこのことです。
煉り羊羹の仕上がりタイミングは一瞬です、タイミングが10秒も過ぎますと美味しさから不味さへと転落します。


Q and A  まだまだ、独特のあの粘りが出せませんが・・・

煉り羊羹の粘りが思ったように出ないとのご質問ですが、更に考えられるのは、
1.練り時間・・・寒天の溶解から仕上げまでは約40〜45分位は必要ですが如何ですか、20〜30分で仕上げたものは充分な火通りも無く美味しく仕上がりませんので、火加減を調節してじっくりと炊きあげるように工夫して下さい。
2.生餡をご使用とのことですが、・・・餡の原料は国産のものを使用していますか?外国産のものは国産のものと比べて粘りはあまり有りません。国産の豆でも北海道産の金時系の豆が適しています。
3.餡は充分に蒸らし終えたものを使用していますか?、白大手亡豆或いは白金時豆が最適ですがこの餡(生餡・漉し餡)自体に粘り気がありますか?この餡に粘りを感じない餡ならば練り羊羹には適しておりません。性急に仕上げた餡は粘り気も無くザラついた感じで、このような餡も羊羹にはまったく向きません。
4.上記の要件を満たしているのに、まだ粘りが足りないならばを餡を投入するタイミングをもう少し早めに入れてじっくりと練り上げて下さい。
5.自分で製餡をされているのでしたら、豆の選択・煮方・蒸らし時間など製餡方法自体に誤りがあるのかも知れませんね、

煉り羊羹は全て材料(豆・寒天・砂糖など)の性質を見極めることから始まって、澱粉粒子がどのように糖分と馴染んでいくのかをしっかりと掴んでいなければ正味の練り羊羹は出来ませんので多くの研鑽を重ねて取り組んでください。






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